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わがままな氷上の貴公子
第3章  心配


 医務室ではマスクを外したから、さすがにオレだとバレた。そのせいで、骨折かと思うくらいに包帯で固定されるハメに。
 そんな中、何故かオレと千絵はサインを残して帰ってきた。
 あんなリンクに、二人で行ったと思われるじゃないかっ!
 もしもフィギュアスケーター同士のデートなら、スケート場なんて選ばないだろう。年中リンクにいるんだから。
 それにこんなに固定されたら、足首が固まるんだよっ!
 軽い捻挫なら、普通に生活した方がいい。それも、経験から分かっている。
「潤くんに潰されて、軽い捻挫で済んだんだから。ラッキーだと思わなくちゃねー」
 千絵はもう落ち着いて、笑ってやがる。
 でも、そうかもしれない。医者も同じようなことを匂わせていたし。
「悠ちゃん。毎日お見舞いに来るからね」
 潤が言った時、ノックの音。お盆を持った和子さんが入ってきた。
 お茶の時間が始まると、和子さんも加わった女性陣は、話に花が咲く。
 時々潤を慰めているが、痛い思いをしたのはオレなんだぞ!?
 オレは、謝りながら紅茶のカップを渡す潤に溜息をついた。


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