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わがままな氷上の貴公子
第1章  変なヤツ



 月曜日にクラブの前でタクシーを降りると、でかいヤツらが、送迎バスから降りてくる。
 アイスホッケーのヤツらだ。
 一緒にエレベーターに乗るなんて、冗談じゃない!
 あいつらはでかいクセにでかい鞄も持っていて、一度押しつぶされそうになった。
 オレがもがいてるのも気付かず、頭のずっと上で何か話してやがって!
 アイスホッケーなんて、ガサツなヤツらがやるんだろう。オレの一番嫌いなタイプだ。
 速足でエレベーターへ乗り、“閉”のボタンを連打した。
 こっちへ来るのは見えたが、勿論無視。
 オマエらは体力だけが取り柄なんだから、二階まで階段を使えばいいんだ。いい準備運動になるだろ?
 イライラしながら4階で降り、すぐ更衣室へ向かった。
 軽くストレッチをしてから、リンクへ出る。
 オレが四階へ来るのはこの時期だけ。そのせいか、メンバー達の視線を感じた。
 注目されるのは気持ちいい。
 オレが滑って行くと、他のメンバーが進路を空ける。そうされなくても、簡単に避(よ)けられるけどな。
 コーチに言われて合同練習に出てやったのは、一ヶ月後にある、このクラブの発表会のため。
 大きな大会に出られないメンバーのために、シリーズ直前に毎年発表会を開く。大会の十分の一の入場料で客を呼ぶのは、クラブの宣伝でもある。
 一通り滑って静止した顔を上げると、桜井圭太(さくらいけいた)が近寄ってきた。
 圭太は今季からシニアに上がったばかりの、一つ年下。
 オレが抜けたジュニアのトップクラスだったが、オレとは真逆の力強い演技が売り。
「望月さんっ」
 オレより10cm近く高い身長とアンバランスにも見える、人懐っこい笑顔。明るい性格で、昔からクラブの人気者。
 一般のファンは、勿論オレの方が多いけどな。
「発表会のポスター、見ましたか?」
 弾んだ口調で言う圭太に、軽く頷いた。
「写真だけでも、やっぱり優雅ですよねー」
 あちこちに貼られるポスターには、このクラブの有名選手の写真が載る。さっきエレベーターの入り口と中にも貼ってあったが、今年も大きく載ったのは三年連続のオレと、二年連続の園田千絵(そのだちえ)。その他数人は、小さく載るか名前だけ。


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