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わがままな氷上の貴公子
第5章  それぞれの闘い


 待っていたような和子さんに出迎えられ、四人で食卓に着く。
 潤は試合後にシャワーを浴びてきたからと、真っ先に中央の鍋を見つめている。
「若い人が集まるなら、こんな方がいいと思ったので」
 目の前の鍋は、チーズフォオンデュ。テーブルには色々な具材が載っている。
「オシャレ―。さすが和子さん」
 塔子と一応女の千絵には似合うが、チーズフォンデュじゃ潤は前菜にしかならないだろう。
「どうぞ。召し上がれ」
「いただきまーす!」
 それぞれに声を上げてピックを持ったが、和子さんは潤だけに大きなおにぎりを5つも出した。
「わあっ。ありがとう。和子さん」
 すぐにかぶり付く潤を、三人が笑っている。
 そんな数、オレには食べ切れないよ……。
 やっぱり和子さんは、餌付けしようとしてるな……。
 オレは、自分用に用意された温野菜を突ついていた。
 チーズはカロリーが高いから、普段は食べない。そういった物を摂るのは、大会が近付いてから。
 でも、アイスホッケーの試合には正直圧倒された。
 男同士のぶつかり合いなんて、見慣れていない。フィギュアの本番では、一人でリンクを使う。
 オレがあの中へ入ったら、リンクが狭くて避(よ)けて滑れるだろうか。すぐあいつらに潰されるだろう。
 そんな中へ、一時的でも潤が入っていたなんて。
 潤なりに、努力しているのかもしれない。口にはしないが、褒めてやろう。
「悠ちゃん。俺、スケート上手くなったでしょう? 練習したんだよ」
「まあな……」
 訊かれたから仕方なく言ってやると、潤は嬉しそうな表情。
 お前にしてはまあまあって意味だよ!
 本気のオレに付いてリンクを1周出来たら、口に出して褒めてやる。
 10年も練習すれば、何とかなるんじゃないか?
 そう思い、何となく未来を考えてしまう。
 10年経てば、オレは26歳。フィギュアスケーターとしての盛りは過ぎる頃。
 その時オレは、どうするんだろうか……。
 実績があれば、プロや解説者。オレは興味がないが、タレントになるヤツもいる。自分のクラブを開設することも。
 フィギュアスケーターとして活躍出来るのは、長くて14,5年が限度だろう。


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