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わがままな氷上の貴公子
第5章  それぞれの闘い


「アイスホッケーって、いくつくらいまでの選手がいるんだ?」
「ん? 40代も、結構多いよ。雑誌で読んだけど」
 おにぎりを片手に、肉をチーズに漬けた潤が言う。
 40代……。
 フィギュアスケーターは、絶対に無理。
 続けるのはいくつまででも構わないが、体力的に無理だろう。無様な演技をするなら、潔く引退した方がいい。
 オレが子供の頃は、男子も3アクセルで大技と言われていた。それが今は、4回転が普通。
 4回転の多様なジャンプを入れないと、上位には入れない。
 野菜に、少しだけチーズを付けて食べた。
 チーズのカロリーは高いが、糖質は低い。少しなら、栄養面から食べた方がいい食品だ。
「あっ。トマトがないのは、悠斗が嫌いなせいかー」
 千絵が言うと、みんなが笑い出す。
「煩いっ!」
「ごめんなさいね。だからつい買わないのよ」
 他に好き嫌いは殆どないが、トマトだけは触感が嫌いだ。
 栄養は他の物で摂っている。和子さんにも任せてあるから、その辺は問題ない。
「ごちそうさま……」
「もうおしまい?」
 塔子の驚いたような顔。
 朝や昼はもう少し食べるが、夜はそれよりも少なめなんだよ!
 千絵はバクバク食べているが、大会直前になると「太った」といつも嘆いている。
 大会用の衣装は、体のラインに沿って早めに作る。
 滑るための伸縮性はあっても、急激に太ったら着られなくなるぞ?
 オレは、そのまま自分の部屋へ行った。
 あいつらだけで、賑やかにやっていればいい。
 家では殆ど和子さんと2人だったから、潤が来ていただけでも賑やかだと思ったのに。
 部屋のシャワーを浴びながら、溜息をついた。
 オレは後10年。潤は今18歳だから、40歳まで20年以上ある。
 あいつが、真剣にアイスホッケーを続ければの話だが。
 余計な思いを振り切るように、頭を振った。
 今考えるのは、そんなことじゃない。目の前にある、大会を勝ち進むこと。
 グランプリシリーズや世界大会は毎年でも、オリンピックは4年に1度しかない。
 潤のヤツだって、確かにスケーティングは上達していた。
 まだまだとはいえ大学卒業まで続ければ、ガタイからして実業団への道があるかもしれない。


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