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わがままな氷上の貴公子
第6章  本音


「馬鹿っ、やめろっ、んんっ……」
 セックスになると、すっかり潤のペース。
 そのせいで、調子が崩される。
 何にも考えてなくて。スケートが下手で。いつもボーっとしてて……。
 塔子の家に通ってて……。
 そう思うと腹が立つが、この体勢からどうにもならない。
 結局また、潤の好きにされ放題……。
 シャワーを浴びてから髪を乾かし、シーツを替えたベッドへ転がった。
「帰んないの?」
「うん。今日は、外泊届け出してあるから」
「はあ?」
 前に聞いたな。そんな話……。
「二階のゲストルームで寝ろよっ」
「悠ちゃんと一緒がいいなあ」
 いくらダブルだって、お前と一緒じゃベッドが狭いんだよっ!
「寮のベッドよりフカフカだもん」
 当たり前だろう?
 スポーツ選手が使う、特別なマットレスなんだよっ!
「お前は床で寝ろ」
 背中を向けると、後ろから抱きしめてくる。
 一瞬身構えてしまったが、もうソノ気はないようだ。
 オレもよく千絵に言われるが、潤が何を考えているのか分からない。
 こいつなりに頑張ったから、練習試合とはいえ出場出来たんだろう。
 それについては、褒めてやってもいい。
 でも。塔子がいるのに……。
 背中から、温もりが伝わって来る。
 こんなことをされるのも、初めてだ。
 全身を包むような温もりに、静かに目を閉じた。


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