この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わがままな氷上の貴公子
第8章 本当の闘い

お前は抱きしめてるつもりだろうが、オレにとっては羽交い絞めなんだよっ!
「大会とかテレビ出演とかで、疲れてるんだよ! 明日も練習だし!」
「ちょっとだけ」
何がちょっとだよ……。
「悠ちゃん……」
耳元での不器用な囁きの後のキス。
これくらいは許してやろうと思った時、ソファーへ押し倒された。
「馬鹿っ! ここではやめろっ!」
言ってから、言葉を間違えたと思ったが遅い。
“ここでは”じゃなくて“暫く”に訂正したかったが、言う間もなく抱き上げられた。
こうなったら、どんな抵抗をしても無駄だと分かっている。
そのまま、部屋に運ばれてしまった。
ベッドに降ろされ、溜息をつく。
シャワーは、最後のテレビ局で浴びてきた。
スタジオは想像以上に暑くて、いつもスーツで出ているキャスターなどは大変だろう。
何社も三人で回ったが、やはり本堂に長く話を聞いていた。でも今まで無名だった九十九が、一番注目されていた気がする。
千絵も女子の代表として一緒だったが、気を遣ったのか、本番中は話しかけてこなかった。
三番手の扱いについて思い出すと、イライラしてくる。
「悠ちゃん……」
「待てっ!!」
潤が動きを止めた。
「オレの本番は、これからなんだよ。そんな時に疲れて……」
無駄だった。
一度は止まった潤だったが、すぐに覆いかぶさって来る。
「悠ちゃん……」
囁きながら、服を脱がされていく。
もう、どうにでもしろっ!
どんな物が知らないが、ネットで勉強したんだよな?
だったら、体格差も考えてくれよ……。
「んっ……」
首すじを軽く吸われ、反応してしまった。
また潤のペース……。
会うのが一週間振りだから、仕方ないか……。
今回は潤も服を脱ぎ、直に肌が触れる。
自分の体が熱くなっているのが知られそうで、横を向いた。
「はぁっ……」
この時だけは、“フィギュアスケーターの望月悠斗”じゃなくなってしまう……。
どうしてだ?
今まで付き合ったヤツらとだって、両手で足りるほどしかヤっていないのに。
男同士だし、相手は地方だし、オレが注目されていて堂々とは会えなかったから。

