この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
わがままな氷上の貴公子
第8章  本当の闘い


「今のままの構成でも完璧に熟せば、オリンピックは狙えるから」
「はい……」
 そう答えるしかない。
 年齢制限が外れ、やっと巡ってきたチャンス。
 オレだって、焦っていた。
 今季を逃せば、次は4年後。
 今回が駄目だったら、スケートは辞める覚悟。
“美少年フィギュアスケーター”として注目されたのは、中学生の時。
熱烈なファンでさえ、オレの容姿しか見ていない。それもあり、無様な滑りはしたくないと思っていた。
 転倒するなんて恥ずかしい。
 そう考え、無難な演技構成で満足していた。
 でも、もうそれじゃ通用しない。
 回転不足を取られても、美しい着地をすればいい。転倒したら、他でカバーすればいい。
 一番無様なのは、負けることだ。
 体裁を取り繕ろうとしている場合じゃない。
 それが分かったのは、潤のお蔭でもある。
 スケートが滑れなかったのに、少しだが練習試合に出られるようになった。何度オレが怒鳴っても、傍にいることをやめない。
 不器用な囁き……。
 そんな潤の行動に、オレの心は動かされてしまった。
 全てが、あいつなりの努力なんだ。
 今回のファイナルは、幸運なことに日本開催。
 割り当てのチケットがあるから、潤や和子さんも観に来られる。
 そんな前で、負けたくはない。
「望月。今日は取り敢えず、今までのプログラムで滑ろう」
「はい」
 決意を新たに、リンクへ降りた。


/141ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ