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わがままな氷上の貴公子
第8章  本当の闘い


 16歳と17歳になった今、あと少しでオリンピックに手が届く。
 気持ちを切り替えた今、オレもプレッシャーを感じていた。
 ここまで来て、逃したくない。
 家の前でタクシーを降りると、いきなりのフラッシュとシャッター音。
 オレも千絵も、その方向を見て呆然としてしまった。
「お二人が付き合ってるのは、本当だったんですね」
 男に渡された名刺を見ると、ゴシップ雑誌の記者らしい。
「家でデートですか? 外じゃ目立ちますからね」
 皮肉っぽい笑い。
 この写真を雑誌に載せられたら、また心配事が増える。
「違います! ただの友達です!」
 千絵は抵抗しているが、こんなヤツに何を言っても無駄だ。
 何より、写真が証拠になってしまうだろう。
「悠ちゃん、お帰りっ! どうしたの……?」
 出てきたのは潤。少し遅れて、和子さんも出て来た。
「どうしたんですか? 今日は、お知り合いをたくさん集めてのパーティーなんですよ?」
「パーティー?」
 男が、眉を歪める。
「望月くんの、お母さんですか?」
「いいえ。私はハウスキーパーです。どうぞ、ご覧ください?」
 和子さんが玄関を開けて見せると、そこにはたくさんの靴があった。
 オレや、母親の物。古いが、父親や兄貴の物も。
 これを出してたから、和子さんは潤より少し遅かったのか……。
「二人の、グランプリファイナル出場のお祝いです。さぁ、悠斗さん、千絵ちゃん。お疲れ様でした。みなさんが待ってますよ」
 オレは男に笑顔で頭を下げてから、千絵と家へ入った。
 ザマーミロ!
 和子さんは、凄いんだからなっ!
「え? 何……?」
 千絵はまだ驚いている。
「ごめんなさいね。すぐに片付けますから」
 そう言って、和子さんがシューズボックスへ靴を片付けて行く。
「潤くんが、ずっとインターフォンで外を見てたお陰ですよ。変な奴がいるって言うから」
 お前、番犬としても役に立つな……。
「ありがとう。和子さん。潤くんも」
 千絵はホッとした表情。
 オレも、笑顔で和子さんに礼を言った。
 敏腕ハウスキーパー。
 そう命名したい。


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