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夜ごと疚しい夢を見る(「初めて女を~」ピックアップ御礼)
第1章 夜ごと疚しい夢を見る
* * *
「……っ!?!?」
がばりと身を起こしたビスカスは、辺りをきょろきょろと見回しました。
「……夢っ……?」
寝台には自分しか居ない事を確認すると、ビスカスは大きく安堵の溜め息を吐きました。
「……っあー…………夢で、良かった……!!」
冬なのに、寝間着の背中は汗でびっしょりと濡れています。
そして、もう一つ。
「……クソっ……洗濯しねーと……」
寝間着の下衣も寝具も、汗では無いものでべっとりと濡れてしまっておりました。
(今日は、休みか……良かった……けど、なんなんだよ、俺の夢は……大事なお嬢様に毎回毎回、なんっっっって不敬で下劣で淫りがましい事を……!!)
ローゼルに疚しい事をする夢を見るのは、何度目でしょう。その度に飛び起きては夢であることに安堵するものの、毎回手を変え品を変え、違った夢を見るのです。
しかし、無駄に発揮される想像力には、経験の無さという限界が有りました。どんなに自分に都合の良い夢であっても、ローゼルに挿入して、最後まで達した事は有りません。
ビスカスはこのままここでローゼルに仕え続ける事に、自信が無くなり始めていました。
(どんな事が有ったって……一番大切にしなきゃいけねーもんをちゃんと大切に出来る様な、そんな奴になんなきゃ、もうここにゃあ居られねえ……お嬢様のお傍にお仕えする資格なんざ無ぇよ……)
一年もせずに、学校は修了を迎えます。
その先の身の振り方について真剣に考えなくてはと、ビスカスはその日固く決意しました。
*
この時のビスカスには、想像さえ出来ませんでした。
この頃見ていた夢よりももっと甘美でお互いを愛おしむ様な営みが、より深く熱く混じり合う思いと共に、叶う未来が来る事を。
……けれど。
それまでにはまだ山あり谷ありの、長い年月がかかるのでした。
【終わり/または「初めて女を抱くらしい私の護衛に甘やかされて困っています」に続く】