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エロ小説を100冊読んでみた
第3章 種乞い狐のスケベなお宿へようこそ!

強く印象に残ったのはその文体。「わあ! 普通の小説みたい!」と驚きました。
ノクタ発ということで、Web小説特化型の文体が学べるかなと思っていたら、その予想は外れました。

犬吠先生のこの文体、私とても好き。

「文章が上手い」と言ったとき、色々な上手さがあると思うのですが、なんというか黒子に徹するタイプの文章というか……そういう言い方をすると「無個性な」と捉えられるかもしれませんが、そんなことはないんですよ。ちゃんと血肉を感じることができて、とても自然に物語に馴染んでいる。だからこその黒子。

本を沢山読んだことがある人の文章だと思うし、学生の頃はきっと国語の成績良かったんだろうなとか想像しちゃったし、文章修行もしたんだろうな。そいでもって、この作品書くときもかなり推敲して文を作ったんだろうなーと、そんなことを感じました。

とにかく文章が丁寧なんです。

「回りくどい」ということでも「緻密な描写」ということでもないよ。

省くところは省き、尚かつ、わかりやすい言葉をしっかり選んで組み立てている。短いセンテンスで読みやすく過不足なく表現するということを最初から最後まで根気よくやっていることが伝わって来る文章でした。

もし、自分の文章に自信がないという人がいたら、犬吠先生の文章をお手本にしてみたらいいのではなかろうか。けっこうどんなジャンルの作品とも相性いいフラットな文体だと思うし。
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