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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第16章 白いお馬さん


「ああ、形見か?……アルがそんな趣味なのかと思った」

「そっ…そんな趣味はアルはないわっ」

ふふふっと作り笑いを向けながらユリアは焦った。


……いけないっ!この国に来るまでアルが使ってた…て言うとこだった…
危ない危ないっ…秘密だもんね、アルが女の子だってことは……


ルイスはユリアの髪から飾りを外すとじっくりとそれを眺める。

細工もかなり凝っている。さぞかし腕のある職人の手掛けた品に違いない。


「結構……値打ち物だね……アルはお坊ちゃまかな?」

「アタシ達の生まれた村はすごく大昔からあったんだって……だからこういった細工の飾りは古くからの物ばっかりよ。お金持ちとかじゃないわ……村ではお金は必要なかったから」


「へぇ…通貨は使われてなかったのか……じゃあ村は自給自足か」


ルイスは髪飾りを眺めていると留め金の部分に小さな模様を見つけた。

「この模様は?アルの家紋か何か?」


ユリアはルイスの指差す部分を覗く。

「これは村の紋章よ。みんなの家に古くからあるものは全部この紋章がついてるの!
アタシの家にもあったわ…すごく大きな盾だったから持って来れなかったけど……」

「村の紋章……か──ところで君達は兄弟ではないのか? どうして子供だけで村を出たんだ?」


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