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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第16章 白いお馬さん


ユリアはまた悲しそうな表情で俯いた。
それでもぽつりぽつりと呟くように口を開く。

「アタシ達は兄弟じゃないわ…でも村全体が家族みたいだったから……村を出たのは長の遺言なの…村の人達はみんな…死んじゃった……生き残ったのはアタシ達だけ…親や兄弟…っ…お友達も…っ…」

ユリアの声が強く上擦った。


「ごめん……もういいよ。嫌な事を思い出させちゃったね……」


ルイスは詫びながらユリアをそっと抱きしめた。

幼くして両親を亡くす悲しみはルイスだって痛いほど知っている。

ましてや村の人皆が亡くなっていく様を。その現実を、この幼さで受け止めるには容易な事ではないはずだ。

ルイスも自分が幼い頃に味わった感情を思い出し、ユリアをぎゅっと強く抱きしめていた。













(……ユリア遅いな…)


アル達が食堂についてから30分近くは過ぎている。
アルは席を立った。


「ちょっと見てくるから皆はここに居てっ」


「うん、わかった!」


ティムは頷いてアルの背中を見送った。

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