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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第17章 ハードボイルドなアルだけど。
食堂を出て廊下を歩いてると向かい側に見覚えのある顔が見えていた。
向こうもアルに気づき手を振り挨拶してくる。
「お、アル! わざわざ家に来てくれたんだって?
礼なんかよかったのに…って、手土産のパイは嬉しかったけどな!」
ロイドは笑みを浮かべてアルの頭にぽんと手を置いた。
「パイだったんだ?あの中身…」
「ああ。ラズベリーパイ!俺の大好物な。得にエバの手作りがね!
エバが持たせたんだろ?あれ…」
「うん、見掛けに寄らず甘党だからって…」
「見掛けにねえ…やっぱり俺に甘い物って似合わないか?」
「うーん…甘い物より半裸で骨付き肉かじってそう…かな?」
「“かな?”…って」
そんなイメージなのか、俺って…
ロイドは顎に手を当てていた。
「ところで今から何処にいくつもりだ? 意味もなく着いてきちまが……」
ロイドはついつい話をしながら、アルに着いてきてしまっていた。
アルは頭を掻いて苦笑うロイドを見上げる。
「…ユリアをね、食堂で待ってたんだけどなかなか来ないから部屋に呼びに行くとこだよ」
「そうか。じゃあ着いてきたついでだ、俺も付き合うよ」
そう言ったロイドの手には洗濯したらしい“あひるちゃん割烹着”が握られていた……。