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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第17章 ハードボイルドなアルだけど。


後ろから着いてきていたアルもその声に気づくと急いで駆け出す。


「ユリアっ!──」


アルは野薔薇の垣根越しにルイスとユリアを発見すると、みるまに表情を変えていた。


「なにやってんだっ!?
おおまあえぇーっ!」

「え…っ…」

怒りも露に指を指す。慌てて駆けてきたアルにルイスは大いに焦った。

そう。ルイスは抱っこちゃんスタイルのまま泣いているユリアを自分の膝の上に抱き抱え、しっかりと抱きしめていた…。

それは誰がどう見ても熱い抱擁スタイルである。


アルは急いでユリアをルイスから引き剥がし、衣服の乱れがないか手早く確認した。

「ユリア…っ…大丈夫?何かされた!?」

そう訊ねてユリアの顔を見たアルはまた、怒りに拍車がかかっていた。


「──…っ…泣いて…るうえに…鼻血…っ…までっ」

アルはゆらりと立ち上がり、ルイスの方へにじりよる。その顔はまるで歌舞伎の鬼面のように恐ろしい。


ルイスは思いきり怯えた。

「えっ!?…ちょ…ま、待てアルッ」

なんだかヤバイ──…そう思ったが、さすがの精鋭隊長も避け切れない!

近距離からの重い右ストレートがルイスの顔にゴツッと入っていた……。



見守っていたロイドは顎に手を添える。

こいつ‥けっこうデキルナ……


ロイドは中々の威力を持ったアルの右ストレートに感服したようであった。

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