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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第48章 溢れる想い


ロイドは深い溜め息をつき自分を落ち着かせようと努力した‥


目の前にはあんなに会いたかった人がいるのに、自分は気を使わせてばかりだ…

‥俺はいつからこんなに女々しくなっちまったんだ?

なんでコイツの事になるとこんなに臆病になるんだろうか‥‥‥



ロイドがアルの後ろ姿を見つめていると‥

突然、あのね!と言いながら笑顔で振り返るアルと目があった…


「──…っ…」


とっさに顔を背けるロイドに一瞬、アルは悲しそうな表情を浮かべた



アルは今日作ったパイを手にし、食卓に置くと取り分ける為にナイフを入れた


そのパイを見てロイドは目を見張る‥‥



「ラズベリーパイ..」


ロイドはボソっと呟いた


「これね、実は今日‥エバに習って作ったんだ!
大好物でしょ?
エバほど上手じゃないけど‥‥」

アルは口を開いたロイドに笑顔を向けて、照れわらう。

ロイドはパイを食い入るように見つめていた。


そうだ‥これは俺の大好物‥一度だけそう言ったことがある‥‥

そして、自分の好きな人がそれを憶えていてくれて、しかも手作りしてくれた‥

男が喜ばない筈がない

ロイドはパイを眺め緩む口元を手で隠した‥
顔はほんのり紅潮している‥‥‥


“わかりやすぅー…”


そんなロイドを見て子供達は呆れながら思っていた

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