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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第50章 忘却の女神



「アルッ――‥‥!」









名前を呼ぶと同時に自分の胸に掻き抱く―――




「なんでお前はっ‥‥」



切なく狂おしい程の感情がほとばしる!

愛しても愛しても愛し切れない!!

身を裂きそうなほどの痛みをコイツは解ってるのか!?

俺の気持ちを受け入れる気もないくせに、なんでこんなに俺の心を掻き乱す!?






熱過ぎる想いにロイドの瞳から涙が溢れた――









ただ、‥‥アルはもう驚かない‥‥‥
急に強く抱きしめられてもアルの心は何だか穏やかな心地良さに包まれていた…


なんだろう‥‥この感覚‥‥‥


何だかすごく久しぶりな気が‥‥‥




周りの草木の香りに鼻孔がくすぐられる‥‥‥

アルはロイドを抱きしめながら自分の身の回りを取り巻く空間にうっとりとしていた‥‥‥






そして、ロイドは自分の背中に優しく回されたアルの腕に驚き涙で濡れた顔を上げて息を飲んだ――










この世の者とは想えぬ微笑を讃え、自分を見つめる優しい眼差しに魂を抜かれる‥
そしてふわりと柔らかく微笑む艶やかな唇に、ロイドは吸い込まれるようにゆっくりと唇を落とした‥‥‥

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