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第5章 鉄拳の母

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「あぁ、‥昔聞いたような懐かしい声だ……‥」

ザドルはアルの出て行った方を見つめ寂しそうに目を細める

「……ザドル‥あんたはここで食べてくかい？」

「あぁ、俺は食べてくよ」

…賑やか？‥

賑やか‥ねぇ……

──っ！…ああ、そういうことかい♪


トレイにパンを盛り始めたザドルにエバは何かを思い出して語りかける。


「そういえば、あの子夜食をエライたくさん持って行ったっけねぇ？
‘こんなに食べるのか？’って聞いたら、いつもこのぐらいだ、つってさぁ…‥返ってきた食器みたら‥
ふふっ‥フォークとカップが4つずつ‥

ずっと何に使ったんだろうと思ってたけど、賑やかってのでやっと理解できたよ‥そんなに、こそこそしなくていいのにねえ」

「ああ、ガキはガキらしく生きりゃあいんだ…」

ザドルはそれだけいうと黙々とパンを食べ始めた














―ガチャ―

「おかえり！アル」

「ただいま。貰ってきたよ、はい」

「うぁっすっげぇいい匂い」

「ほんと〜すごく甘〜い 香りがする」

アルはみんなに好きなパンを自由に選ばせると、自分の分を一つ取って残りを袋ごとユリアに渡した。