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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第5章 鉄拳の母
「お昼にみんなで食べて‥それだけあったら3時のおやつの分も足りると思うから」
「アルはお昼は要らないの?」
ユリアが心配そうに聞く
「朝食べれば充分だよ、夜だっていっぱいご飯でるから‥
気にしなくても大丈夫!!」
アルはニッコリ笑ってユリアをなだめた
―ガサガサッ
「はぃ!」
「!?‥」
ユリアは袋からパンを一つ取り出しアルに差し出す
「アタシはジョンとおやつ半分こするから、これで足りるわ」
「ユ‥リア…」
「アル、アタシ達のために我慢ばかりしないで‥ね」
ユリアは首を傾げて優しくアルに微笑む
「………‥」
「じゃあ行ってきます!」
ユリアは笑ってそう言うと四人で連れだって外に出かけて行った。
その小さな後ろ姿に、アルは見送りの言葉をかけなかった‥
いや、言葉をかけることができなかった。今、口を開けば絶対に言葉がうわずってしまう。そう思ったからだ‥
アルは強く唇を結んだ。
7才の女の子にあんな言葉を言わせた自分に腹がたった
‘自分さえ我慢すれば‥’
そう思ってやってきた事すべてが、あの子達に辛い思いをさせていたことをアルはこの時、初めて理解したのだった‥