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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第5章 鉄拳の母


「ごめ、みんっ…なっ…っ…」



押し殺した言葉を口に出すと涙が溢れ、とめどなく溢れた涙は握り締めたパンにまた一つ、また一つ‥と吸い込まれていく…


アルはその場に小さく蹲るようにしゃがみ込んでしまった…











──ガヤガヤと人混みがごった返している。


「だけど、ほんと賑やかな街だよなぁ… なあ、ユリア、‥なんだ?まだ落ち込んでんのか?」

賑やかな街を眺めながら頭の後ろで腕を組むとティムはユリアに目を向けた。

「だって、アル‥泣きそうだっだんだも゛‥」

「って、おまえが泣いてどうするんだ?」

「だっで‥ぇ‥ぅぇ」

「泣くなっ! おまえが泣くとジョンも泣くっ!」

「ふっうっ‥わがっだっ…くぅ」


ユリアは必死に歯を食いしばって口を一文字に結んだ

この子達はこの歳でもう涙の止め方を知っている…

生まれてからずっとそういう生き方をこの子達はしてきたのだ。


「がんばればいいんだ!
みんなで、ちょっとずつ
がんばればいいんだよっ!な、マークっジョンっ!」


「うん、ぼくがんばるのスキだよ♪ねジョン!」

「ぅん、がんばりゅの!」
深い意味を知ってか知らぬかジョンは無邪気な笑顔を見せる。


「‥うん、そうだね…アタシもがんばるの好き!」

そう言って声を大にする。
ユリアの涙はいつの間にか消え、頬に伝った涙の後だけが微かに残っていた…

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