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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第6章 ザドルの過去



下を向けば石造りの床に流れ落ちた涙が染み込みきらずそこに残っていた……



「…ぁ‥ゴメ‥」




か細い声でアルが今の状況を詫びようとしたときだった
―ブシュブシュッッチーン

アレンがすかさずハンカチでアルの鼻をかんでクシャクシャな顔を拭き取ってくれた

「謝る必要はないです、私がお願いした方なんですから‥ね‥」

「ぅ‥ン」

うつむくアルを覗きこんでアレンはとっさに思った
涙はとまったが、とても連れて歩ける顔ではない‥と このまま一緒に歩けば自分がいじめっ子だと思われてしまう


…周りの部下達から
“やっぱりあの人は非道の鬼総督ルイス殿の右腕だ”そう言われては今まで築いてきたイメージが



「……もうそろそろお昼になりますから…施設を見学しても誰もいないでしょう………後日、出直しますか?」

「うン‥そうする‥」


正直なところ、アルも今回はパスしたかった
(これだけ泣いたんだ自分の顔がどうなってるか想像つくよ…‥)

涙がとまり、アルも少し気恥ずかしさを感じだしていた…

「ホッ‥ じゃぁ部屋へ帰りましょう!」

(ホッ?)

「サァ、急いで急いでっ」
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