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遠恋カレンダー
第4章 4月:異動
「なに?」
イヤな雰囲気によくない話を感じさせた。
こーゆーカンはよく当たる。
「う、ん」
いい淀むその姿に、やっぱりいい話じゃないんだと確信して
少し前に好きだと確認した相手が何を話すのかじっと待つ。
「転勤が決まったんだ」
「転勤?」
うちの会社は山梨の研究室が最先端なのに
転勤ってことは・・・左遷?
「えっ何かした?」
私の慌てたその言葉に、小川君は一瞬考えてハッと気が付いて
「左遷じゃない」
と手を振った。
「左遷じゃないなら―――」
そこまで言って、最悪の・・・いや、ある意味では最高の考えに思い当たった。
「もしかして」
「うん。ドイツ」
やっぱり。
海外だ。
「本当は金子さんが第一候補だったんだ」
暗い部屋の間接照明の明るさが彼の肩を浮きだたせた。
「最後まで金子さんと所長が協議して
金子さんは今のプロジェクトを最後まで専任することになった」
私のほうを向いてぎゅっと抱きしめる。
「俺のこの年でドイツの研究所に行かせてもらえるのは、本当にラッキーなんだ」
私の身体を優しくなでるその手のひらが小さく震える。
ある意味最高の出来事だと思う。
あらゆる偶然が重なって小川君が候補に挙がったんだろう。
彼の言う通り、普通なら候補にさえ上がらないはずだ。
イヤな雰囲気によくない話を感じさせた。
こーゆーカンはよく当たる。
「う、ん」
いい淀むその姿に、やっぱりいい話じゃないんだと確信して
少し前に好きだと確認した相手が何を話すのかじっと待つ。
「転勤が決まったんだ」
「転勤?」
うちの会社は山梨の研究室が最先端なのに
転勤ってことは・・・左遷?
「えっ何かした?」
私の慌てたその言葉に、小川君は一瞬考えてハッと気が付いて
「左遷じゃない」
と手を振った。
「左遷じゃないなら―――」
そこまで言って、最悪の・・・いや、ある意味では最高の考えに思い当たった。
「もしかして」
「うん。ドイツ」
やっぱり。
海外だ。
「本当は金子さんが第一候補だったんだ」
暗い部屋の間接照明の明るさが彼の肩を浮きだたせた。
「最後まで金子さんと所長が協議して
金子さんは今のプロジェクトを最後まで専任することになった」
私のほうを向いてぎゅっと抱きしめる。
「俺のこの年でドイツの研究所に行かせてもらえるのは、本当にラッキーなんだ」
私の身体を優しくなでるその手のひらが小さく震える。
ある意味最高の出来事だと思う。
あらゆる偶然が重なって小川君が候補に挙がったんだろう。
彼の言う通り、普通なら候補にさえ上がらないはずだ。