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扉の向こう
第3章 次の朝2
僚太は右手を香菜の腰から手を離しスマホを取り出して、ラインで香菜に「ごめん」と入れると、香菜のお尻にに密着した腰を香菜からすっと離した。香菜は突然の喪失感に、頭の中だけは安堵し、その他の身体は、下半身を中心にぽっかり穴が空いたような感覚になっていた。香菜は携帯電話を取り出すと、僚太からのラインを確認し、僚太の「ごめん」の意味を、「電車の中で興奮してごめん、冷静になる」という意味で理解した。それにしても、僅かだが、空いたこの距離が寂しい。ベッドの上以外で、僚太の興奮を知る事がとても新鮮だった。腰に置かれた手、お尻に密着した僚太の熱さと逞しさ、いつもと違う僚太の「雄」の部分を香菜の身体は感じとっていた。しかしここはベッドの上ではなく、人目もある満員の電車の中。頭の中の常識が、それ以上興奮させられる事が無くなった今の状況に安堵していた。香菜がそんな事を考えている時、僚太の心は大きな不安と大きな興奮で張り裂けそうだった。止めようとも思うが、興奮と興味でブレーキが利かなくなっていた。唾を飲み込むと、手を震わせながら、指先を、ゆっくりと、香菜のお尻に持っていく。指先が香菜に触れた瞬間、香菜が一瞬ビクッとした。思わず手を離すと、もう一回指先をお尻に持っていき、今度は指先を優しくお尻の下を這わす。今度は香菜の手が僚太の手を払う。そして小刻みに首を振り、止めてという意思を示した。構わず僚太は指先を太ももとお尻に這わしていく。香菜は抵抗の意思を手で示しているが、力で勝る僚太はお構い無しに、ゆっくりとくすぐるように指先で香菜の下半身を堪能した。今度は手のひら全体でお尻の柔らかさを確認するかのように優しく円を描くように触れていく。香菜はぎゅっと手の甲をつまむ。僚太は右手をお尻から離すと、軽く香菜の背中を抱き寄せ口元を耳に近付けると声を少し震わせながら小声で、「我慢して。」とささやいた。そしてまた手がお尻に伸びていく。香菜の手がまた僚太の手に伸びるが、明らかに力は抜けていた。香菜の頭の中は、人の目に怯える心と、こんな所でこんな事をする恥ずかしさと、僚太に犯されいるという現実、そして、今まで感じた事の無いほどの自分の下半身の熱さで頭の中はごちゃごちゃだった。決定的だったのは僚太の「我慢して。」という言葉。この優しいけど、軽く相手を支配するような言葉に、香菜の常識は崩壊寸前