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アイドルと恋人契約
第1章 契約
扉の先には、広々とした空間が広がっていた。扉の外からは想像出来なかったがやはり高級な住宅街なのだろう、みずきの知っているマンションの部屋とはスケールが違う。
入ってすぐに大きめの靴箱があり、そこには煌びやかな靴がいくつも並んでいる。
目の前にはリビングが広がり、黒いソファと大きなテレビが設置してあった。
対面式のキッチンはまるで雑誌にでも出てきそうな洗練されたデザインで、生活感をほとんど感じない。
物が多くなくシンプルだが、それが逆に高級に感じられた。
「いらっしゃい」
ぱた、とスリッパの音がした。
次いで男性の声。
驚きすぎると逆に冷静になるのだと、みずきは生まれて初めて知った。
リビングの向こうの廊下から、翔が──偽物ではなく、本物の翔がこちらに向かって歩いてきたのだ。