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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第3章 たもつ
◆ ◆
その夜、コンビニでのバイトに勤しみ、深夜二時を過ぎたころ。
「オイ、暫くは一人でいいよな?」
いつものように先輩は僕に仕事を押しつけて、裏でサボるつもりのようだった。
「お客が少なくたって、やることはいくらでもあります。店長だって、深夜組が手を抜いてるんじゃないかと疑ってるみたいですし」
無駄だと思いつつも、珍しくささやかな抵抗を試みるけど。
「っせーな。真面目かよ。こんなコンビニ、どうせ潰れるだろ。こっちは昨日から、寝てねーの」
先輩はそう言うと、欠伸をしながらバックルームに姿を消した。
「はあ……しょうがないなあ」
ため息をつくと、仕方なく一人で棚の陳列を続ける。
暫くして、静まり返った深夜のコンビニに入店音が鳴り響いた。
「いらっしゃ――!」
言いかけておきながら、思わず言葉が詰まった。入口の方を向いたまま、僕はぎょっとしていた。
「どうも、こんばんは」
挨拶の言葉とともに片手を上げたのは、美里さんだった。
「あ、ど……どうも」
「どうかしたの? そんなに慌てちゃって」
「いえいえ、別になんでも……」
と、否定した僕の脳裏に、夕刻にみた夢の一場面が鮮明に蘇っていたのは言うもでもないことである。