この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第3章 たもつ
それにしても岬ちゃんはともかく、どうして美里さんまで夢に……?
それを不思議に思いながら、微笑む美里さんの顔を眺めていた。
美里さんはいつものように、他には目もくれずホットドリンクのコーナーに向かった。そこで指をすっと横に動かしながら、選んだ缶コーヒーを手にして、僕の待つレジへ。
軽くバックルームの方を窺ってみるけど、先輩が出てくる気配はなかった。さっきの様子からすると、本当に居眠りをしているらしい。
そう考えて、少し気を許したというわけでもないけど。
「美里さんって、いつも缶コーヒーなんですね」
いつになく気軽に、自分からそう話を向けた。
「いけない?」
「あ、いえ……そうじゃなくって」
言われたセリフが夢の場面と重なり、ドキリとする。急ぎ取り繕うように話しを続けた。
「たまにはドリップコーヒーもいかがかな、と。セルフになりますが、値段も缶コーヒーより安くって味もそれなりですから」
「ありがとう。でも、特にこだわりがあるわけじゃないの」
「あ、そうなんですね」
「うん。この時期って寒いでしょう。家までのお供にね。カイロ代わりみたいなもの」
そう言った美里さんからは、ほんのりとお酒の匂いがした。そう気づいて余計かと思いつつも、更に訊ねる。
「コンパとかの帰りですか?」
「うーん……ま、そんなとこかな。しょっちゅう遊び歩いてるみたいで、イメージ悪いよねー」