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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第3章  たもつ 


 それにしても岬ちゃんはともかく、どうして美里さんまで夢に……?

 それを不思議に思いながら、微笑む美里さんの顔を眺めていた。

 美里さんはいつものように、他には目もくれずホットドリンクのコーナーに向かった。そこで指をすっと横に動かしながら、選んだ缶コーヒーを手にして、僕の待つレジへ。

 軽くバックルームの方を窺ってみるけど、先輩が出てくる気配はなかった。さっきの様子からすると、本当に居眠りをしているらしい。

 そう考えて、少し気を許したというわけでもないけど。

「美里さんって、いつも缶コーヒーなんですね」

 いつになく気軽に、自分からそう話を向けた。

「いけない?」

「あ、いえ……そうじゃなくって」

 言われたセリフが夢の場面と重なり、ドキリとする。急ぎ取り繕うように話しを続けた。

「たまにはドリップコーヒーもいかがかな、と。セルフになりますが、値段も缶コーヒーより安くって味もそれなりですから」

「ありがとう。でも、特にこだわりがあるわけじゃないの」

「あ、そうなんですね」

「うん。この時期って寒いでしょう。家までのお供にね。カイロ代わりみたいなもの」

 そう言った美里さんからは、ほんのりとお酒の匂いがした。そう気づいて余計かと思いつつも、更に訊ねる。

「コンパとかの帰りですか?」

「うーん……ま、そんなとこかな。しょっちゅう遊び歩いてるみたいで、イメージ悪いよねー」

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