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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第3章 たもつ
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そう言った美里さんが、子供っぽく舌を出して笑った。今までのイメージよりも、親しみやすい表情だった。
「ねえ、お酒は好き?」
「ぼ、僕ですか?」
「うん。僕」
と、にこやかな顔を向けられ、焦った。
これって、誘われてるのかな? いや、まさか……。
「好き嫌い、というか。僕はまだ十九なので……」
「ああ、そうなんだ。じゃあ、飲めないね……」
僕の気のせいだとは思うけど、美里さんの声が少しだけ寂しそうに聴こえた。
「あの――」
その時、僕はなんと言おうとしていたのだろう。この後の美里さんの、意外な行動によって、それは自分でもわからなくなってしまった。
「会計、ちょっと待っててね」
美里さんは、そう言ってレジの後ろを振り返る。
その正面にある棚には、ラッピングされた箱が並んでいた。棚の上には『ハッピーバレンタイン』の手書きポップがある。
美里さんはそこから箱をひとつ手にして「これも、お願い」と、それをレジの上に置いた。
だけど僕はレジに通すのを躊躇した。理由がある。
「あの、すみません。こちらの商品は、朝になれば半額になるんですけど……」
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