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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第3章 たもつ
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僕にしても、人生の壁にぶつかり迷いの日々である。もし互いに支え合ったりできる関係なれたら、それは嬉しいことだ。
僕だって、変わりたいとは思っているから。
でもそれは声や態度を変えてエッチなことをするのとは、どう考えても違う。今のままの関係をずるずる続けるのは、とにかく危いことだろう。
「どうぞ……入ってください」
部屋に行くとドアを少しだけ開き、岬ちゃんは僕の顔を見ずに言った。
「うん」
この前みたいに目隠しをしたり、そんな意地悪な態度を改めなければならない。普通に部屋の中へと通される。時計を見ると、時刻は午後の六時くらいだった。
それまで岬ちゃんの部屋を訪れたのは、バイト終わりの早朝。それ以外で顔を合わせたのは深夜のコンビニと決まっていたから、こんな風に普通の時間帯(?)に会うこと自体が、とても新鮮に感じられる。
「……」
「……」
床で向かい合って座ると、なんだか急に照れ臭い気がした。それは彼女の方も同じだったのか、互いに顔を俯かせて無言のまま、暫く時間だけが流れていた。
なにか言わなければ。そう焦れば焦るほど、なんて言っていいのかわからなくなる。迷いの中でそっと顔を上げると、岬ちゃんと視線が合った。
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