この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第3章  たもつ 


 ありふれたファミレスの店内は、ちょうど夕食時ということもあって、適度に込み合っていた。

 少し待って案内されたのは、一番奥まったボックス席。ホールの中ほどのテーブル席に比べれば人目を避けられる分、落ち着けそうな雰囲気だった。

「岬ちゃん、いい?」

 こくり、と頷いた岬ちゃんは、ゆっくりとした動作で席に座ると周囲を見渡した。満席に近い店の中は、お客たちの話し声が反響しガヤガヤとしている。

 そんなことに、気後れしたのだろうか。

「どうしたの?」

「あ……うぅ……」

 岬ちゃんはテーブルの上の僕の手を握り締め、苦しそうに項垂れてしまった。

「み、岬ちゃん。もし、無理なら――!?」

 心配してそう言いかけると、きゅうっと手を強く握られる。

「だ、大丈夫です……」

「だけど」

「わたし、均くんだけを、見ます。だから……」

 ゆっくりと顔を上げ、微かに微笑んでみせる。でも、お世辞にもいい顔色とは言えなかった。

 僕はまだ彼女の事情を、簡単に考えすぎていたのではないか。人がなんの気なしにできることを、彼女は困難だと感じているのだ。

 あの部屋から一歩踏み出すのに、どれほどの勇気を振り絞っているのか、僕は想像したことがなかった。

/376ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ