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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第3章 たもつ
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「岬ちゃん――喉、乾いてない?」
「ん……」
微かに身じろぎをしたが、目を覚ます様子はない。前髪を分け額に手を当てるけど、熱はなさそうだった。
部屋の中を見てみても、謎は深まるばかり。どうして世間と隔絶しているのか。最低限の生活が誰によって保障されているのか。そして、ここに至るまでに一体、彼女の身になにがあったというのか。
「話してくれたら、力になれるかもしれないのに」
返事もせず眠り続ける姿に、ふっと息をついた。額の手を放し前髪を指先で整え、じっと横顔を眺める。
いろいろな想いが胸をドキドキさせて、頭の中が変になりそう。油断すればたちまち、ベッドに眠る岬ちゃんに襲いかる場面を夢想しはじめてしまう。今しがた口にした言葉とは、裏腹すぎて自分が嫌になる。
けれど、それだって僕なのだ。
「もう、寝よう」
モヤモヤを振り払うように、わざわざ口に出して言う。このまま彼女の傍らで、一人悶々としているのは明らかに不健康だ。
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