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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第3章  たもつ 


 とはいえフローリングの床にゴロンとなって眠れるほど、太い神経はしてない。もちろん岬ちゃんのベッドに潜り込むなんて、もっての外だ。その方が、逆に眠れなくなるに違いなかった。

 困った僕の視線は、自然とベッドとは反対側のクローゼットの扉に注がれる。

「流石に、まずいかな……」

 両開きの扉を前にして、僕は躊躇した。

 人によっては冷蔵庫を見られる方が、よっぽど嫌かもしれないとは思いつつ。でも冷蔵庫を開けたのは、飲み物をもらう目的であって他意はなかった。

 しかし、この部屋で唯一の収納といっていい、このクローゼットは別格のように感じられる。殊に岬ちゃんの場合、なにかとんでもないものを収めているなんてことも……。

 気のせいか扉の前にいると、怪しい雰囲気が立ち込めているようだった。

 だけど、このままでは眠れないのも確か。クローゼットの中であれば、毛布やマットなどの寝具が入っている可能性は十分にある。

「余計なものは一切、目にしませんから」

 誰にというわけでもなく、そんな言い訳を口にして、僕はクローゼットの扉を開いた。

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