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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第3章 たもつ
◆ ◆
ん……朝……?
瞼越しの柔らかな光。外でさえずる小鳥たち。
僕は目を閉じたまま、そんな気配を感じていた。思ってたよりも熟睡できたみたいだけど……。
普段は深夜にバイトがあるから、夜眠りに就いて朝起きるという習慣を忘れて久しい。それだけに、快眠を得たことが意外だった。
とにかく三つ折りのマットレスが、とても快適。厚さは五センチ程度なのに、高反発で僕好みの弾力をしている。枕はなかったので、ズボンを脱ぎそれをたたんで代用した。
身体にかけるものはタオルケット一枚だったけど、エアコンの設定温度が適切だったことで寒さを感じることもなかった。
マットレスとタオルケットは、クローゼットの中にあったのを借りている。
クローゼットの中……!
頭の中で〝それ以外〟に見たものを思い出しかけて、急速に眠りの世界から抜け出しそうになった。
あれは一体どういうこと――なっ!?
考えを巡らせようと頭を働かせ始めた時、僕はようやく気づくのだ。頭部に向かわせるはずの血流が、既に別の一点に集中していることを痛烈に自覚する。
「み、岬ちゃん!」
目を開けるなり、思わず名を呼んだ。
「おはようございます。均くん」
悪びれることなく挨拶を口にした彼女の顔は、仰向けに寝ている僕のすぐ近くにある。ズボンの枕の横に左ひじを立てると、僕の顔を覗き込むように見下ろしていた。
添い寝する身体を、ぴたりと密着させている。