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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章   岬? 


 そこで甘えるわけにはいかない。均くんがいつまで、わたしなんかにかまってくれるのか、それだって定かではないから。

「そっか……」

「均くん?」

 急に視線を落とした、その態度を気にかける。

「あのさ……」

「なんですか?」

 と、聞き返した時。

「あ、っと」

 均くんのスマホから、メッセージの着信音が鳴った。それを、きっかけとするようにして会話は中途半端なままになる。

「なんでもない。じゃあ、また」

「はい……また」

 均くんはそそくさと、部屋を出て行った。

 今のメッセージは誰からのものだろうか。わたしが気にしてもしょうがないと思いつつ、心がチクリとささくれていた。

 わたしは均くんの、なにになろうとしているのだろう。〝岬〟の名に対してせめて、慰めを与えたい。最初はそんな風に思っただけなのに。

 やはり、わたしはわたしなのだ。〝岬〟の名を語ろうとも、わたしが喜んでしまう矛盾。それならばせめて、こちらから望むことはやめよう。

 そう――この心のときめきは、全て〝岬〟のものなのだ。

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