この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章 岬?
◇ ◇
それから二日して、買い置きの食べ物がなくなったころ。いつものように〝ドテモン〟に姿を変えると、深夜の街路をコンビニへと向かった。
わたしの一連の姿を、そのように呼んでいたことは、均くんから聞かされていた。もちろん不愉快に思うはずもなく、むしろちょっとだけ可愛らしくさえ感じている。
それが人としての可愛さでないから、容易に受け入れることができた。
道の先にコンビニの光が近づくにつれ、内心浮かれている自分に気づく。均くんに会えることが、やっぱり嬉しいのだと実感している。
外を歩く足取りをこんなにも軽く感じたのは、いつ以来のことだろうか。そんな風に考えながら、店舗の入口の前に歩み寄った時だ。
「じゃあねー」
そう口にして、颯爽と店を出てくる人物を前に咄嗟に背を向けた。そのまま去ってくれるのを期待して、じっと佇んでいたのだけど。
「あら、アナタ?」
「!」
振り返ると、そこにはグレーのコートを着こなしたスタイルのよい女の人が立っていた。缶コーヒーを片手にこちらの顔を覗くのは、均くんから〝美里さん〟と呼ばれていた人だった。
「こんばんは」
彼女は、気さくな感じで挨拶を口にしてる。にこやかな微笑は、彼女の持つ心の余裕のように感じられた。