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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章   岬? 


    ◇    ◇


 それから二日して、買い置きの食べ物がなくなったころ。いつものように〝ドテモン〟に姿を変えると、深夜の街路をコンビニへと向かった。

 わたしの一連の姿を、そのように呼んでいたことは、均くんから聞かされていた。もちろん不愉快に思うはずもなく、むしろちょっとだけ可愛らしくさえ感じている。

 それが人としての可愛さでないから、容易に受け入れることができた。

 道の先にコンビニの光が近づくにつれ、内心浮かれている自分に気づく。均くんに会えることが、やっぱり嬉しいのだと実感している。

 外を歩く足取りをこんなにも軽く感じたのは、いつ以来のことだろうか。そんな風に考えながら、店舗の入口の前に歩み寄った時だ。

「じゃあねー」

 そう口にして、颯爽と店を出てくる人物を前に咄嗟に背を向けた。そのまま去ってくれるのを期待して、じっと佇んでいたのだけど。

「あら、アナタ?」

「!」

 振り返ると、そこにはグレーのコートを着こなしたスタイルのよい女の人が立っていた。缶コーヒーを片手にこちらの顔を覗くのは、均くんから〝美里さん〟と呼ばれていた人だった。

「こんばんは」

 彼女は、気さくな感じで挨拶を口にしてる。にこやかな微笑は、彼女の持つ心の余裕のように感じられた。

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