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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章 岬?
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「――!?」
「でも、いいんでしょう? 恋人同士ではないと確認した上のことなんだから、ね」
「え……あ……」
わたしの想いが言葉となる前に。
「そういうことだから、よろしくー」
缶コーヒーを掲げ、彼女は背を向けた。
「なっ、なんで――?」
「ん?」
行ってしまおうとする他人を呼び止めるなんてことさえ、現在の自分からすればあり得ない行為だ。
でも、わたしは声を上げ、彼女も既に振り向いている。
「なんで……た、均くん、なんですか?」
「!」
やや驚いたような顔を、わたしは見つめた。美女でスタイルもよく、そうかといって冷たい感じもなく気さくで人当たりもよさそうだ。
その証拠に、こんなわたしですら最低限の会話が成り立っているくらいだから。
そんな彼女が、なぜ均くんを、と率直に思った。そう思って、心が焦れる。もっと気持ちを正しく表わせば「取り上げないで」という只ならぬ想いが生じた。
「理由がないと、デートに誘ってはいけない?」
「他の人は、しらない。でも、わたしには……ちゃんとあるので」
均くんでなければいけない、その理由は確かに胸の中に。その想いを秘め、わたしは彼女に対峙する。
対して彼女はまた、微笑を浮かべた。からかっているのではなく、わたしを試すような表情に思えた。
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