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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章   岬? 


「だったら今、彼の前で『わたしの彼に手を出さないで』と言ってくれない?」

「え……?」

「それができたら、こっちは手を引くかも。今、呼んできてあげるね」

 そう言って店内に戻ろうとする彼女の手首を、「待って!」と、わたしは咄嗟に掴み取った。

「やっぱり、できない?」

「……」

 彼女の手を放しながら、無言で俯く。

「なんだか、いろいろありそうだけど。もっと素直になるべきだと思うよ。彼がほしいのならね」

 均くんを、ほしい?

 それは、抱いてはいけない気持ち。

 彼女は「じゃあね」と告げて歩き出すけど、二三歩進んで足を止めると。

「ああ、ちなみに。まだ、ちゃんとオッケーはもらってないよ。私から誘っただけ」

 最後にそう告げて、今度はそのまま去っていった。

「み、岬ちゃん……?」

 コンビニ内に入ると、均くんの言葉はいつもの「いらっしゃいませ」ではなく、こちらに向けた顔もわたしが好きな笑顔ではなかった。

 美里さんにデートに誘われた後だから、どこかよそよそしいのか。それとも……?

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