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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章 岬?
「……」
暫くレジの向こうの均くんを見やった。でもまだなにも言えずに、視線をそらすといつものように食料の物色を始める。
客一人、店員一人の深夜のコンビニ。均くんが、こちらを気にかけていることが、どこにいても気配としてよくわかった。
わたしの方もいつもより緊張をして、購入すべき商品を一つずつ手に取ってゆく。そして、意を決するようにレジへ行くけど。
「あの……」
「うん……」
一応は短い言葉を交わすも、互いの視線を合わせることはしない。淡々と商品がレジに通されてゆく間、てきぱきと動く均くんの手だけを見つめる。
いつか、わたしの中に入ってきた、しなやかな指先だ。
「……」
そっと彼の顔を仰ぎ、僅かに腰をよじった。
今は二人きりであるけど、ここは彼の仕事場。頭の中をよぎる、いやらしい妄想の数々を振り払うようにして、小さく頭を振った。
今はそれよりも聞きたいことがあって、だけど美里さんの話を振るのは、やはり気が引けてしまう。なにより、均くんの態度はいつもと違っているから。
それが気になってるくせに、なにも聞けないで焦れていた。
「はい。気をつけて持って」
大きなレジ袋を差し出した時、均くんはようやく控えめな笑顔を向けてくれた。袋を受け取りながらわたしはじっと、その瞳を見つめる。
「どうかした?」
「さ、さっき、あの人が――」
と、言いかけた時だ。