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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章   岬? 


「お願いだから、過去にあったこと、僕に話して。それで、なにかに悩んでいたり苦しんでいるなら、支えになりたいんだ。僕は岬ちゃんのことが――」

 その言葉の続きを聞いてしまったら、また揺らいでしまうと感じた。だから、わたしはそれを精一杯の声で制した。

「悩んでなんかいません! 余計な優しさを振りかざさないで!」

 ドア越しにも、均くんが怯んだ様子が、気配として伝わっていた。わたしの言葉はそれくらい酷くて、その自覚があるから、そこはかとなく悲しかった。

「ごめん……そんなつもりは、なかったんだ」

「……!」

「でも、こんな風に終わりにはしたくないから。だから、また……また、コンビニにきて。いつでも、待ってるから」

 弱々しくも思いやりを感じる声を残し、均くんの気配はドアの前から遠ざかっていった。

「た、もつ……くん」

 なす術もなく、立ち尽くす。喪失感に襲われた。この先どうしようかという、不安が募る。均くんのコンビニに行くことだけが、わたしの命を繋いでくれた。

 全てをあきらめることは簡単だったはずなのに、気がつくとわたしはドアを開けていた。

 すると――

「――!」

 均くんの姿は既になかったけど、部屋のドアノブにはさっきコンビニで買った食料が吊り下げられていた。

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