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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章 岬?
真っ暗で長くで寂しい道のり。まるで修行のようなコンビニまでの道中を、数週間ぶりに進んだ。でも、この足取をそこはかとなく軽く感じている。
久しぶりに均くんの笑顔に会える。やはりそれが嬉しいのだとわかり、足を進める度にトクトクと心音が跳ねてゆくようだ。
そうして歩き続け細い路地から通りに出ると、ぼんやりとコンビニからの光が近づいてきた。
自然と期待にふくらむ胸。しかし、視界に飛び込んできたものが、それを急激にしぼませることになった。
えっ……?
その光景は、十メートル足らずに迫ったコンビニの前でのもの。
明るいオレンジを基調とした制服の背中は、確かに見慣れた均くんのものだ。そこに絡みつくような二本の腕が、抱きすくめている。
それは漠然と、綺麗な光景のように感じられた。まるで映画の一場面のように――。
「大丈夫ですか?」
「うん、平気――」
そうやって甘い声でささやき合い、抱き着いた彼女が上目づかいに視線を向けると。
「――キスしよ」
コンビニの店内から漏れ出す光に照らし出された男女は、わたしの目の前でゆっくりと顔を近づけようとしている。