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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第5章 均
「……」
その様子をレジの中から窺いながら、僕は深いため息を吐く。
結果的には、それが一因となったのは間違いない。なんの話かといったら、昨夜のバイト中に店の前で美里さんと抱き合っていた件である。
岬ちゃんはその場面を目撃すると、コンビニの前から一目散に走り去った。
僕はすぐに後を追うことができず、結局はバイトが終わってから彼女の部屋に行ったのだけど……。
最初は、美里さんとああなった経緯を話そうと思った。でも岬ちゃんは、自らのショッキングな過去の出来事を突きつけ、結果的に僕のことを遠ざけている。
だから根本的な原因は、それとは関係ないのかもしれない。だけど、あのような最悪な出迎え方さえしなければ、少なくとも岬ちゃんだって以前と同じように買い物にきていたはず。
せっかく久しぶりに部屋を出て、コンビニまできていたのに……。
もしかしたら、無意味な言い訳かもしれない。それでも僕は、昨夜の場面を思い浮かべながら、岬ちゃんに話そうとしていたことを思い返してみた。