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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第5章 均
間を置いて頭に思い浮かべたのは、岬ちゃんとの間に会った行為の場面。けれども、これからしようとする行為については、間違いなく「はじめて」だ。
確認した美里さんの方は、年下の未経験者を変にからかうでもなく。かといって「じゃあ、教えてあげる」という高校生男子が妄想しそうなテンプレ的なセリフを発するわけでもなかった。
ただ、ホッとしたように微笑んでいる。
「よかった。わたしも、はじめてだから」
「え?」
「冗談。でも、期待とは少し違うかもしれないから……」
「美里さん?」
「ううん、なんでもない」
そう言ってゆっくり唇を寄せて、軽いキスをする。そうしながら美里さんは、僕のTシャツをゆっくりとした手つきで、胸の辺りまでせり上げた。
そして、唇を離して聞く。
「どこを――どうされたい?」
「どうって……」
「触ればいいのか。舐めればいいのか――言って」
「……」
部屋に入って高まりぶつかり合った衝動は、今は一旦、鎮まりかけている。鎮まるというより、戸惑っているという方が的確なのかもしれない。
だけどその空気を滲ませるのは、経験のない僕ばかりではなくって……。
酔っているからなのか、それはよくわからない。今は下着姿でソファーに僕を押し倒しながらも、美里さんは明らかに戸惑っているように感じた。
さっきは僕を求めるように、あんなにも激しくキスをしていたのに、ここまでの二人の行為は互いに終始ぎこちないものだった。