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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章  美里晶 


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 今の私しかしらない人たちは、意外に思うだろうか。

 中学時代は陸上部に所属して、練習に明け暮れていた毎日だ。特に二年生の時は、短距離走で県大会の上位の成績を修めると自信を深めていった。

 もっともっと、陸上を頑張ろう。しかし高まったモチベーションを、三年生まで維持することはできなかった。

 身長は伸びて身体は大きくなるから、競技には有利に働くはずだ。だけど女らしさを増す身体は、そういった意味で男と同じようにはならない。

 たとえば大きくなった胸を揺らし走れば、同じく思春期を迎えていたであろう周囲の男子中学生の視線を否応なく集めてしまう。激しく揺れれば痛さも伴うから、単純に競技の邪魔だと感じ、自分の身体の成長を疎ましく思ったことも、しばしばあった。

 結局、思うように記録を伸ばせずに、中学で陸上競技に区切りをつけた。でも、そうしたことに後悔があるわけでもなく、今となってはいい思い出になっている。

 一方でそのころ、私の密かな楽しみといったら、きらめくような恋愛を描いた少女マンガだった。その中に登場する男子高校生たちは、クールだったり爽やかだったりタイプは様々だけど、どのキャラも一様にカッコいいと思った。

 自らを主人公の女の子に重ね、いつか自分もそんな恋愛をすることができるのだと、憧れを抱いていた。

 私の周囲にいたのは、揺れる胸に興奮するような中学生男子であったけど、それでも数多くのマンガの舞台となる高校時代ならば、その状況は一変するような気がしていた。

 ただ単に、夢をみていたかったのかもしれない。

 だけど厳格だった両親の方針で、私の進路は女子校に限られてしまった。そうして憧れ続けたマンガのような高校生活とは、無縁の日々がはじまる。

 マンガに描かれたようなことなんて、所詮は虚構なのだと否応なく気づかされたのだ。

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