この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater2.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
その後、深夜のバイトに勤しむ僕の気分や顔色が、思いっ切りブルーだったのは言うまでもないだろう。
勤務中のスマホの所持は厳禁である。ミーティング前に店長から注意を受け、やむを得ずロッカーの中にしまっていた。
つまり例のメッセージを取り消しできないまま、もう数時間が経過しているということ。搬入後の品出しに区切りがついた時、横で作業してる先輩の方をちらりと見た。
「なんだよ」
と、聞かれ。
「すみません……今日は、先に休憩してもいいですか?」
既読になったのは、もうどうしようもない。今は、とにかく一刻でも早くフォローのためのメッセージを送るべきだ。僕は焦っていた。
たとえば【さっきはゴメン。バイトの先輩の悪ふざけだから気にしないで】とか【ほんのジョークだから忘れてね】とか、どんなメッセージを打つべきか、さっきから頭の中はそればかりだ。
「なにサボろうとしてんだよ。まだ、そんな時間じゃねーだろ」
「……」
いつも僕に仕事を押しつけてゆっくりサボるくせして、この人はどうしてそんなセリフを臆面もなく言えるのだろう。大体、僕がこんなにも気をもんでいるのは、あなたの悪ふざけのせいなのに……。
今日に限って真面目に作業する先輩の姿を、僕は恨めしそうに見つめた。すると、そんな時のことだ。
「いらっしゃいませ」
![](/image/skin/separater2.gif)
![](/image/skin/separater2.gif)