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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章 美里晶
「ねえ、この後はどうする?」
「は?」
「美里のマンション、その先の交差点のところだよね」
「……!」
マンションの場所をしられていることは今更驚くほどのことでもないが、それを悪びれもせず自分から口にするところが、いかにも希だと感じた。
やはり希が、事前に私との接触の機会を窺っていたのは間違いなさそう。彼女の粘着質に辟易して、当時別れを切り出したのはわたしの方からだった。それを今でも根に持っているとは思えないが、あまりいい別れではなかったのも事実。
希は私と、よりを戻しにきたと考えるのが自然のように思う。再会のタイミングを見計らっている内に均との関係に気づいたのだとしたら、今の態度にも納得するところがある。
それだけに、希に対して警戒心を抱いてしまうのだ。
「三人で美里の部屋に行こうよ。私、もう酔っちゃった。横になりたーい」
「ふざけないで」
「マジだよ。いいじゃん、別に。三人で楽しめばさ。二人のこと、盛り上げてあげるよ」
「え?」
それに、均が驚くのも無理はなく。
「ねえ、山本くん。どっちが晶のこと感じさせるか。争ってみない?」
希は臆面もなく、とんでもないことを言い出していた。