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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章 美里晶
「考えたって、どんな風に?」
「あの人――岸井さんは、なんだか自信満々に挑発してきたので……そんな態度を感じて、正直気後れしたというのはあります。きっと僕なんかより上手く美里さんを感じさせることができるんだろうな、とか。つい、そんな下らないことを考えてしまって……」
均の言ってることも無理もないと思いつつも、私は腹立たし気に言う。
「なに、それ! ホント、くだらない! 私が誰かと比べながら、均に抱かれているとでも思うの?」
「お、思いません。美里さんが僕に求めてるのは、そういうものじゃないって」
「だったら希のことは、もう気にしないで」
「はあ……」
そのはっきりしない返事に、つい言わなくてもいいことを口にしてしまうのだ。
「ああ、そっか。それ以外にも気になることあるもんね。あの子のこととか」
「そ、そんな!」
「ほっとけないんでしょ? 自分で言ってたじゃん」
「違います! 岬ちゃんとは――もう。むこうから、完全に拒絶されてしまいまして……」
「へえ。じゃあさ、あの子にフラれたから、私ってことぉ?」
大げさにすねた顔をして言うと、均は慌てる。
「そんなつもり、ないですないです! 前にも言ってた通り、美里さんにはずっと気後れしてただけで……というか、その……」