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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
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「あ、ちょっと待って!」
美里さんが慌てた様子で、僕の制服の袖を掴んでいた。
「もし気分を悪くしたのなら、ごめんなさい。悪気はなかったの」
彼女はそう言って、僕の右手を両手で包み込むようにきゅっと握り直した。美里さん思いのほか冷ややかな体温が伝わると、心臓の鼓動が俄かに早まってゆく。
こんな美人に期せずして手を握られていることに、僕は激しく動揺した。
「いえ……べ、別に気にしていませんから」
「うふ」
「……?」
不意の微笑を目の前にして、その意図が読めずに困惑の度合いが高まる。でも、からかっているだとか、嫌な感じはなかった。
確かに美人ではあるけれど、こちらに向けた柔らかな笑顔には冷たい感じは微塵もない。
「あの――」
なにか話そうした、そのタイミングだった。
店内に鳴り響いたチャイムが、新たなお客の入店を告げる。そして、その姿を見た僕の胸が、また騒ぎ出すのだ。
「!」
それは〝ドテモン〟改め〝岬ちゃん〟。彼女はそれまでと変わらぬ珍妙な装いで、店に現れている。
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