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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第8章  あやか 


    ◇    ◇


 結果として、自分でも信じられないくらい水着グラビアは反響があった。

 それから半年余りの内に、目まぐるしく状況は変わる。わたしは主だった雑誌の巻頭グラビアを順繰りにこなすと、高校二年生になった春には写真集やDVDが発売され、握手会などのイベントではファンとの交流も経験した。

 本屋やコンビニで自分が表紙を飾っている雑誌を眺めると、まるで自分じゃないみたいで妙な感じがした。グラビア上で明るく笑う自分のことをニセモノのように感じるけど、求められることが増えればそれがホンモノのように振舞わなければならない。

 この世界の仕組みに、自分が徐々に染められてゆくのだと思った。

 しかし、こうなってしまえば、やはりモデルというのは形ばかりで、仕事では水着ばかりを着続けることになっていた。

 それについて、加賀見さんと話したことがあった。

「文句なんかいったら、バチが当たるぞ。あやかのように仕事に恵まれるのは、ほんの一握りなんだから。それにモデルと名乗ったからこそ、他の子との差別化も成功している。安心しろって、すべては順調だよ」

 そんなことでいいわけ? 饒舌な加賀見さんにかかれば、いつもこのように丸め込まれてしまう。まあ、別にモデルにこだわりがあったわけでもない。その方が自分にとっても、その周囲にとっても耳障りがよかっただけのことだ。

 そんな流れで、事務所で仕事の打ち合わせをはじめた時だった。

「おはようございます」

 現れたのは事務所の先輩の、ゆうかさんだ。わたしが事務所に所属したばかりのころ、モデルの基本レッスンでお世話になっている。その時は先輩として、優しくアドバイスをしてくれた。

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