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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第8章 あやか
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「わたし、演技なんてできませんよ」
「誰だって、はじめは同じことを言うよ。だけど、みんなやってるんだ。あやかにだってできるさ」
「無責任な言い方」
「ハハハ! そりゃ、俺がやるわけじゃないからね。でも、この話は受けるよ。なにせ、主役はFP7の浜谷陸也だ」
浜谷陸也や所属グループについてはバラエティー番組などのテレビ出演も多く、高校生ならしらない人はまずいないだろう。特にファンというわけでもないので、加賀見さんが言うほど「いい報せ」とは思わなかった。
わたしが参加するのは、地方で行われるロケだけだとという。撮影時期が夏休みと重なるため、学校を欠席する必要もない。なんとなく気乗りしないまま、映画の仕事はわたしのスケジュールの中に組み込まれていった。
このころ仕事が忙しくなったことで、両親ともめたことがあった。わたしの水着グラビアが掲載された雑誌を手に「話が違う!」と、父が激高したのだ。
それが、はじめて水着なってから随分経ったころだったので、わたしとしても、どうして今更という想いが先に立って、大ゲンカに発展してしまった。
後でしったのだけど、そのころ父は立ち上げた事業が上手くいかずに、ただでさえ不機嫌だったようだ。夫婦だけでこじんまりとはじめたショップではなく、当初から人を雇い入れて総合施設としことが、やはり大きな足かせとなったようだ。
ただでさえ自宅の土地を担保に限界近くまで借り入れをしているだけに、経営が悪化の一途を辿れば立ち行かなくなるのも時間の問題だったという。
多少は売れたといっても、駆け出しのわたしの収入など、あってないようなもので、そんな事情も手伝い、父の怒りが爆発してしまったのだ。
そして、この件は家庭の中だけに留まらなかった。両親はわたしを伴い事務所を訪れ――
「水着のグラビアをやらせるために、娘をあずけたんじゃない!」
と、加賀見さんに迫ったのだ。
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