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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第8章 あやか
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座るように促されたソファーで、居心地の悪い時間を暫くすごした。
「あの――」
「ごめんね。他の人もすぐにくると思うから。とりあえず、これでも飲んでて」
浜谷さんはそう言って隣に座ると、自分で煎れたコーヒーをテーブルの上に置く。
「わたし、やっぱり帰――」
どう考えても妙だ。その雰囲気に耐えかねた時。
「弘前さん、だったね?」
「は、はい」
「今日の演技、とてもよかったと思う。女子高生役の子たちの中で、なんてゆーのかな――一番、輝いていたというか。ハハ、こんな風に言ったら、オジサンみたいかな」
「い、いえ、そんな……わたし緊張して、なにがなんだか」
「確かに、慣れてない人なのは、すぐにわかった。だけど、それだけに好感がもてたんだ。変にこなれてないから、等身大の女子高生をよく演じていたように思う。監督も褒めてたよ」
「ホントですか?」
「うん」
浜谷さんの爽やかな笑顔を前に、わたしの気持ちが高揚する。
はじめての映画の仕事で、大きなプレッシャーを受けていたこの数日。それが報われた気がして、やはり嬉しかった。
話を続けながら、コーヒーを飲んだ。
その後も、浜谷さんからいろんな話を聞いた。新人のわたしなんかに、気さくに時に熱心に、芸能界の先輩としてアドバイスをくれた。
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