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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第8章  あやか 


「答え合わせは簡単だ。その裏にあるのは所属事務所の大小であり、局に圧力がかけられるか否か。他にも大手事務所をもめて退所したタレントが、その後一切テレビから姿を消したなんてことも、よく聞く話さ。噂ではなく、いずれも実際にあることだ」

「そんな……」

「テレビで扱われない限り、いかなるスクープ記事も、それが事実とは認定されないカラクリがある。いくらネット上でまことしやかにいわれようとも、それだけでは単なる噂話にすぎないということ。これだけ多くの人間がスマホを手にする時代でも、まだそんなことが続けられているんだ」

 加賀見さんは、タバコに火をつけながら続ける。

「それが極悪非道な犯罪というのなら、流石に事務所も庇い切れないだろうけどねー」

 吐き出された煙を目で追いながら、話を聞いてはっとして、それまで口にしなかったことを告げた。

「加賀見さん――わたし、浜谷に犯されました」

「ん?」

「あの夜、出されたコーヒーを飲んだら、急に眠たくなって――きっと、その中に睡眠薬が入ってたんだわ」

「オイオイ、あやか……」

「その後にも、変な薬を使われて――そしたら」

「あやか、落ち着け」

 興奮するわたしを、加賀見さんが宥めつける。

「仮にそうだとしても、決定的な証拠がなければどうにもできない」

「そんな!」

「それでも被害を訴えるか? 嫌なことを警察から何度も訪ねられたり、マスコミにいろいろ書かれたりもするが、そんなことに耐えられるのかい?」

「だって――」

「もし徹底的に抗う構えを取れば、向こうも全力で潰しにくるに違いない。それこそ、手段を選ばずにね。過去には、そういったことで闇に屠られた――なんて話すらあるくらいだ。あやかは、そういう世界にいるんだよ」

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