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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第8章 あやか
事務所からの帰り道。
駅からの道のりをとぼとぼと歩きながら、わたしは考えていた。家に戻ったら、すべてを両親に打ち明けよう。そうして、一緒に戦ってほしいと言おう。
浜谷陸也なのか、加賀見さんなのか、両方なのか。弁護士なのか、警察なのか。誰を相手取り、どこにどう訴えればいいのか、それすら一人ではわからないから。
しかし、家でわたしを待ち構えていた両親の言葉は、信じられないものだった。
「彩佳! 加賀見社長から連絡がきたぞ、これは一体どういうことだ?」
まず父が事務所でみたのと同じ記事のコピーを突きつけ、そのように迫った。
「この件でお前の仕事がなくなれば、契約金どころが、こっちに違約金を支払ってもらうと、そんなことを言われたんだぞ!」
「ま、待って……お父さん、聞いて」
続いて母が、ヒステリックに捲し立てた。
「なんて、ふしだらな娘なの! お父さんとお母さんが、仕事で大変なのはわかっていただろうに!」
「お、お母さん!」
「大体、モデルなんていっておきながら、やってることは水着のグラビアじゃないか! そんな仕事をしてるから、周りにもそういう目でみられるんだよ!」
この時、わたしは悟るしかなかった。この両親には、なにを話しても無駄だということを……。